ロイシンで筋肉の減少は防げる?ギプス固定3日間の試験、1日15gでも効果なし
脚をギプスで3日間固定した48人の試験で、ロイシン5gを1日3回(計15g)とっても、筋たんぱく合成の低下(若年者で約15%、高齢者で約23%)と大腿四頭筋の約1.1〜1.2%の萎縮は防げなかった。ケガや手術で動けない期間の筋肉の維持に、ロイシン単体の追加は効果が確認されなかった。
アミノ酸のロイシンを1日15gとっても、脚を動かせない間の筋肉の減少は防げなかった。米国栄養学会(ASN)の学術誌『The American Journal of Clinical Nutrition』2026年4月号に、タイラー・チャーチワード=ヴェン(Tyler A. Churchward-Venne)、ルーク・ファン・ローン(Luc J. C. van Loon)らの研究チームが、若年者と高齢者計48人を対象にした二重盲検ランダム化比較試験の結果を発表した。片脚をギプスで3日間固定すると筋たんぱく合成は大きく落ちたが、ロイシンを飲んだ群と飲まなかった群で差はなかった。
どんな試験か?対象者と方法
対象は日常的に運動をしている48人で、若年者24人(平均23歳)と高齢者24人(平均69歳)に分かれる。全員が片脚の膝をギプスで3日間固定し、もう片方の脚は固定しなかった。そのうえで、ロイシン5gを1日3回とる群と、対照となる炭水化物のプラセボを1日3回とる群に無作為に割り付けた。参加者も研究者もどちらを飲んでいるかわからない二重盲検で行われた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 日常的に運動する若年者24人(平均23歳)、高齢者24人(平均69歳) |
| 固定 | 片脚の膝をギプスで3日間固定 |
| サプリ | ロイシン5g×1日3回(計15g)、またはプラセボ(炭水化物) |
| 主な評価 | 1日あたりの筋たんぱく合成速度、大腿四頭筋の断面積 |
| 掲載誌 | The American Journal of Clinical Nutrition 第123巻4号(2026年4月) |
ギプス3日間で筋肉はどれだけ落ちた?
固定した脚の筋たんぱく合成速度は、固定していない脚と比べて若年者で約15%、高齢者で約23%低かった。大腿四頭筋の断面積は、固定した脚で約1.1〜1.2%減少した。わずか3日間でも、脚を使わないだけで筋肉づくりのペースが落ち、目に見える萎縮が始まることが改めて示された。
ロイシンを飲むと差は出た?
結果は「差なし」だった。若年者・高齢者のどちらでも、ロイシン群とプラセボ群の間で、筋たんぱく合成の低下幅にも筋断面積の減少幅にも差はみられなかった。研究チームは、短期間の固定中にロイシンを補っても、筋たんぱく合成の維持や筋萎縮の予防には効果がなかったと結論づけている。
ロイシンは筋たんぱく合成のスイッチ役として知られるアミノ酸で、その代謝物がHMBである。KINNIKU TIMESでは以前、HMBの筋トレへの上乗せ効果が確認できなかったメタ分析も紹介した。今回の結果も、「スイッチ役の成分だけを足せば筋肉が守られる」という単純な図式には当てはまらないことを示している。
この研究の限界は?
固定期間は3日間と短く、それより長いケガや入院の期間にも同じ結果が当てはまるかはわからない。対象者は健康で日常的に運動する人で、病気やケガで実際に動けなくなった人ではない。また、この試験が調べたのはロイシン単体の効果であり、たんぱく質全体の摂取量を増やす方法や、筋トレをしている人がロイシンをとる効果を否定するものではない。
よくある質問
ケガで動けない間、ロイシンを飲めば筋肉は落ちない?
この試験では、1日15gのロイシンをとっても3日間の固定による筋肉の減少は防げなかった。ロイシン単体に筋肉を守る効果は確認されていない。
ギプスで固定すると筋肉はどれくらい落ちる?
この試験では3日間で大腿四頭筋の断面積が約1.1〜1.2%減り、筋たんぱく合成は若年者で約15%、高齢者で約23%低下した。
ロイシンやアミノ酸のサプリは意味がない?
今回わかったのは「動けない期間にロイシンだけを足しても筋肉は守れなかった」という点に限られる。普段の食事で十分なたんぱく質をとることの重要性は変わらない。
KINNIKU TIMESの視点
ケガや手術、体調不良でトレーニングを休むと、筋肉は数日でも落ち始める。そのとき頼りたくなるのがサプリだが、今回の試験はロイシン単体に期待しすぎないほうがよいことを示した。休養中にまず意識したいのは、医師の指示の範囲で動かせる部位を動かすことと、食事全体から十分なたんぱく質をとることである。アミノ酸サプリを使う場合も「筋肉を守る切り札」ではなく、食事の補助として位置づけたい。価格を比べて選ぶならアミノ酸の最安比較も参考にしてほしい。なお、休んで落ちた筋肉も再開すれば戻りやすいことはマッスルメモリーの記事で紹介している。
出典:Churchward-Venne TA, et al. The American Journal of Clinical Nutrition 123(4)(2026年4月)PubMed/論文(DOI: 10.1016/j.ajcnut.2026.101205)