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ビートルートジュースで筋トレの反復回数が増える?6研究・92人のメタ分析が示した「小さな効果」

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 3分
グラスに注がれた赤い飲み物
SUMMARY|この記事の要約

硝酸塩を含むビートルートジュースとスクワット・ベンチプレスの関係を調べた6研究・92人のメタ分析で、限界までの反復回数や平均パワー、平均速度に小さな向上がみられた。一方で最大パワーや最大速度には有意な差がなく、研究数の少なさから著者らは「さらなる研究が必要」としている。

赤い野菜ジュースは、筋トレの「あと1回」を後押しするのか。持久系競技では以前から研究されてきた硝酸塩(ビートルートジュースに多く含まれる成分)について、スクワットとベンチプレスへの影響をまとめたメタ分析が、学術誌『Nutrients』に2023年5月に掲載された。結果は「一部の指標に小さな効果」。期待と限界の両方が見える内容である。

瓶に入った赤い飲み物
写真はイメージです(Unsplash)

対象と方法:6研究・92人を統合

研究チームは、硝酸塩の摂取がバックスクワットとベンチプレスのパフォーマンスに与える影響を調べた試験を系統的に集め、条件を満たした6研究・計92人(21〜29歳)のデータを統合した。使われたのはビートルートジュースで、硝酸塩量は約6.4mmol(70mLのショット1本)の「低用量」と、約13mmol(2本)の「中用量」の2通り。多くは運動の2〜2.5時間前に摂取しており、3〜6日間続けて摂取する設定の研究も含まれる。

結果:反復回数と「平均」の指標で小さな向上

2種目を合わせた解析では、プラセボと比べて次のような差がみられた(効果量はSMD、0.2前後が「小さい」、0.5前後が「中程度」の目安)。

指標 効果量(SMD) 統計的な有意差
限界までの反復回数 0.43 あり(p=0.002)
平均パワー 0.40 あり(p=0.004)
平均速度 0.57 あり(p=0.025)
最大パワー 0.20 なし(p=0.054)
最大速度 0.00 なし(p=1.000)

種目別ではバックスクワットのほうが複数の指標で向上が目立ち、ベンチプレスではパワー系の指標への影響はほとんどみられなかった。用量別では、反復回数と平均速度は低用量のほうが、最大パワーは中用量のほうが良い傾向だったという。

限界:研究数が少なく、ばらつきも大きい

著者ら自身が、研究数が限られ結果のばらつきが大きいことを明記している。各研究の参加者は少なく、運動の条件(重量や休息など)も研究ごとに異なる。血中の硝酸塩・亜硝酸塩を測定したのは1研究のみで、女性のデータも限られていた。結論は「一部の指標に小さな有益な効果」にとどまり、効果を確かめるには追加の研究が必要とされている。

KINNIKU TIMESの視点

今回のメタ分析が示したのは、「高重量を1回挙げる力」ではなく「限界まで繰り返す力」や「平均的な挙上スピード」への小さな上乗せである。つまり、筋肥大を狙った中〜高回数のセットで反復回数が伸びる可能性はあるが、1RMの更新を後押しする根拠にはならない。

研究の多くは「運動の2〜2.5時間前に摂取」という設定だった。ただし効果は小さく、研究数も限られるため、過度な期待は禁物である。取り入れるなら、トレーニングの記録(重量×回数)をつけ、飲んだ日と飲まない日で変化があるかを自分で確かめるのが現実的だ。持病がある人や服薬中の人は、医師に相談してから取り入れたい。あくまで土台は日々の食事、睡眠、トレーニングの継続であり、ビートルートジュースはその上に乗る「小さな選択肢」と位置づけるのが妥当だろう。


出典:Tan R, et al. Effects of Dietary Nitrate Supplementation on Back Squat and Bench Press Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients(2023年5月27日)