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チョコの香りで筋トレの回数が増える?空腹時に嗅ぐとレッグエクステンションが18回増

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 5分
黒いテーブルに置かれた板チョコレート
SUMMARY|この記事の要約

空腹状態でカカオ90%のダークチョコレートの香りを嗅ぐと、レッグエクステンションの総反復回数が水の香りより平均18回多かった。マレーシア・マラヤ大学が筋トレ経験者の男性23人で行った探索的な比較試験の結果で、きつさの感じ方は変わらなかった。

チョコレートの香りを嗅ぐだけで、筋トレの反復回数が増える可能性がある。マレーシアのマラヤ大学(University of Malaya)スポーツ運動科学部の研究チームは2026年7月、10時間以上絶食した筋トレ経験者の男性23人が、カカオ90%のダークチョコレートの香りを嗅ぎながらレッグエクステンションを行うと、水の香りの条件より総反復回数が平均18回多かったとする論文を学術誌『Frontiers in Physiology』に発表した。9月には米科学ニュースサイトScienceDailyも紹介している。

ジムでレッグエクステンションを行う女性
写真はイメージです(Unsplash)

どんな実験だったのか

研究は、参加者全員が3つの条件をすべて試す無作為化・二重盲検のクロスオーバー試験である。香りは液状にしたチョコレートを入れた容器から嗅ぐ方式で、各セットの前に30秒ずつ嗅いだ。

項目 内容
対象者 健康な男性23人(平均23.4歳、週2回以上の筋トレを2年以上継続)
条件 ①カカオ90%ダークチョコの香り ②カカオ60%ミルクチョコの香り ③水(対照)
状態 10時間以上の絶食後
種目 レッグエクステンション(10RMの80%の重さ)
方法 セット間休息3分30秒で、限界までのセットを続けられなくなるまで反復

ダークチョコの香りで何回増えたのか

総反復回数は、水と比べてダークチョコの香りで平均18回(95%信頼区間13.8〜22.1回)、ミルクチョコの香りで平均9回多かった。ダークチョコはミルクチョコより9回多く、総セット数も水より1セット多かった。一方、主観的なきつさ(ボルグCR10)はどの条件でも差がなかった。

  • ダークチョコ(90%):反復+18回、セット+1(対水)
  • ミルクチョコ(60%):反復+9回、セットは差なし(対水)
  • きつさの感じ方:3条件で差なし

なぜ香りで回数が増えるのか

研究チームが注目したのは食欲の変化である。運動前の段階で、ダークチョコの香りは水と比べて空腹感と食べたい気持ちを下げ、満腹感を高めた。ミルクチョコの香りは「心地よさ」の評価は高かったが、空腹感は下げず、むしろ食べたい気持ちを高めた。

空腹感が強いほど反復回数は少なく(相関係数−0.47)、満腹感が強いほど多い(同0.38)という関係もみられた。香りの心地よさと回数には関係がなかった。ただし、食欲が回数を増やした「原因」だと統計的に確かめる解析(媒介分析)では、はっきりした結果は出ていない。

この研究の限界は

著者ら自身が「探索的研究」と位置づけている。対象は若い男性23人のみで、種目はレッグエクステンション1つ。ホルモンや神経の活動は測っておらず、仕組みは推測の段階である。容器から嗅ぐ方式のため香りの濃さはそろえられておらず、参加者の多くが水の条件を見分けられていたことから、「期待」による影響も否定できない。また、絶食していない状態で同じ効果が出るかは調べられていない。

空腹時のトレーニングについては、16時間断食と筋力の研究も参考になる。

よくある質問

チョコレートの香りを嗅ぐと筋トレの回数は増える?

空腹状態の若い男性23人の試験では、カカオ90%のダークチョコの香りでレッグエクステンションの総反復回数が平均18回増えた。ただし小規模な探索的研究であり、誰にでも当てはまるとはまだ言えない。

チョコレートを食べても同じ効果がある?

この研究は香りを嗅いだだけで、チョコレートを食べる条件は調べていない。食べた場合の効果は不明である。

ミルクチョコよりダークチョコがよいのはなぜ?

ダークチョコの香りは空腹感を下げたが、ミルクチョコの香りは食べたい気持ちを高めた。この食欲の違いが回数の差に関わった可能性があると著者らは考えている。

KINNIKU TIMESの視点

「香りだけで18回」は目を引く数字だが、条件は10時間以上の絶食後という特殊な状況である。朝食前に空腹で鍛える人が、空腹感に気を取られて集中を欠くのであれば、香りのような手軽な工夫が役立つ余地はあるかもしれない。とはいえ、まず優先すべきは食事をとってからトレーニングする、十分な休息時間をとる(セット間休憩の研究)といった基本である。今回の結果は「空腹が筋トレの回数を減らしうる」ことを示すヒントとして受け止め、追試を待ちたい。


出典:Fan X, et al. Chocolate odor enhances resistance exercise performance through appetite suppression in the fasted state: an exploratory study. Frontiers in Physiology(2026年7月9日)ScienceDaily(2026年9月15日)