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「たんぱく質は1回20〜30gまで」は本当か。100g摂取で筋合成は12時間続いた

公開 ・ KINNIKU TIMES 編集部 ・ 読了目安 5分
皿に盛られたスライスした鶏むね肉とグリーンピース
SUMMARY|この記事の要約

筋トレ後に100gのたんぱく質を摂ると、25gよりも筋たんぱく合成が大きく、長く続くことがオランダの研究で示された。「1回に吸収できるのは20〜30gまで」という通説を見直すきっかけとなった研究の中身と限界を整理する。

筋トレ後に100gのたんぱく質を一度に摂った場合、25gを摂った場合よりも筋肉のたんぱく質合成が大きく、しかも12時間以上にわたって高い状態が続いた。オランダ・マーストリヒト大学のルック・ファン・ローン教授らの研究チームが2023年12月、医学誌『Cell Reports Medicine』に発表した。「1回の食事で筋肉に使われるたんぱく質は20〜30gが上限で、それ以上は無駄になる」という、筋トレ愛好家の間で長く語られてきた通説に一石を投じる結果である。

研究デザイン:36人の若年男性に25gと100gを比較

対象は、日常的に運動はしているが本格的な筋トレ経験はない若年男性36人である。参加者はレッグプレス、レッグエクステンション、ラットプルダウン、チェストプレスの4種目を、最大挙上重量の65〜80%で10回×4セット行う約60分の全身トレーニングを実施し、その直後に牛乳由来のたんぱく質を25gまたは100g摂取した。

研究チームは、たんぱく質の原料そのものに目印となる安定同位体を組み込み、さらに複数の同位体を点滴する手法を組み合わせた。これにより、摂取したたんぱく質のアミノ酸がどれだけ血中に現れ、どれだけ筋肉に取り込まれ、どれだけエネルギーとして燃やされたかを、摂取後12時間にわたって追跡した。

結果:合成は大きく、長く続いた

100g群では、25g群に比べて筋原線維たんぱく質の合成速度が、摂取後0〜4時間でおよそ20%、4〜12時間でおよそ40%高かった。つまり差は時間がたつほど広がり、同化反応は12時間を超えて続いていた。

たんぱく質25gと100gを摂取した後の筋たんぱく質合成速度を、摂取後0〜4時間と4〜12時間で比較した図
図:Trommelen Jほか「The anabolic response to protein ingestion during recovery from exercise has no upper limit in magnitude and duration in vivo in humans」Cell Reports Medicine(2023)Figure 4/出典:Cell Reports Medicine/ライセンス:CC BY 4.0(改変なし)

また、摂取量が多いほど、食事由来のアミノ酸が血中に現れる量と筋たんぱく質に取り込まれる量がともに増えた。一方で、アミノ酸の酸化(エネルギーとして燃やされる量)や全身のたんぱく質分解への影響はごくわずかだった。論文は「たんぱく質摂取に対する同化反応の大きさと持続時間には上限がなく、これまで過小評価されてきた」と結論づけている。

項目 25g群 100g群
筋原線維たんぱく質合成(0〜4時間) 基準 約20%高い
筋原線維たんぱく質合成(4〜12時間) 基準 約40%高い
アミノ酸の酸化 両群ともごくわずか

研究の限界:「1日1食でよい」ことを示したわけではない

この研究は、たんぱく質の「1回の量」を比べたもので、1日の総量を同じにしたうえで「1回にまとめる」か「数回に分ける」かを比較したものではない。英キングス・カレッジ・ロンドンのウィタード氏らは専門誌の論評で、25gを数回に分けて摂る群がないため、食事の配分について結論を出す設計になっていないと指摘している。

さらに、対象は筋トレ未経験の若年男性に限られており、トレーニング経験者や女性、高齢者に同じ結果が当てはまるかはわからない。論評では、トレーニング経験のある女性を対象に30g前後で頭打ちがみられたとする別の研究も紹介されており、研究間で結果は一致していない。測定は1回の運動後の12時間であり、長期的な筋肉量の変化を調べたものでもない。

KINNIKU TIMESの視点

この研究から言えるのは、「1回に30gを超えたたんぱく質は無駄になる」と心配しすぎる必要はない、ということである。仕事の都合で朝昼にたんぱく質を十分摂れず、夕食でまとめて多めに摂る人にとっては心強いデータといえる。

ただし、優先すべきはまず1日の総摂取量を確保することであり、食事の回数を無理に減らす理由にはならない。現時点では、3〜4回の食事に分けてたんぱく質を摂る従来の方法も、1回の量が多くなる食べ方も、どちらも選択肢になると考えるのが妥当である。腎臓に持病のある人などは、たんぱく質の量について医師に相談してほしい。


出典:Trommelen J, van Lieshout GAA, Nyakayiru J, et al., van Loon LJC. The anabolic response to protein ingestion during recovery from exercise has no upper limit in magnitude and duration in vivo in humans. Cell Reports Medicine(2023)Witard OC, Mettler S. The Anabolic Response to Protein Ingestion During Recovery From Exercise Has No Upper Limit in Magnitude and Duration In Vivo in Humans: A Commentary. International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism(2024)